FC2ブログ
2013年11月04日 (月) | Edit |
2013年9月30日 第17回 人間と演劇研究所からだとことばのレッスンWS
 囲炉裏端で語られる物語は、文字として記憶されているものではありません。言葉は語り部たちの頭脳に記憶されているのではないわけです。
 それは、文字のない時代からの声音が、身体から身体へと長い時を経て代々受け渡され蓄積されてきた、いわば身体の記憶でしょう。
 その言葉には、物語の風土に響き合う声や、暮らしの中の人々の息遣い、身体が自然と織りなすリズムも孕まれていることでしょう。そして、言葉は身体内に蓄積されたイメージを引き出し、囲炉裏端に集う者たちに共有される無差別の根底から、物語世界をその場に呼び覚まします。
 宮沢賢治の文章にはそのような力が受け継がれているように思います。こんなことがありました。客席数40人ばかりの小さな劇場で、賢治童話『鹿踊りのはじまり』を上演した時のこと、「そのとき西のぎらぎらのちぢれた雲の間から、夕日は赤くなゝめに苔の野原に注ぎ、すすきはみんな白い火のようにゆれて光りました。私が疲れてそこに睡りますと、ざあざあ吹いていた風が、だんだん人の言葉に聞こえ…」の朗読が響き始めると、一陣の風が劇場の中を通り過ぎて行きました。もちろん劇場は密閉空間で風など吹きようがありません。
 恐らく、賢治さんの言葉の響きによって、その場に集う演技者も観客も含めた人々の身体の奥底から、物語のイメージが呼び覚まされ、日常の常識を超えた想像体験がその場に成り立ったのだろうと思います。
 現代を生きる私たちは、このような言葉の力を失いまた忘れ去ってしまったようです。
 言葉と云えば文字情報を脳に記憶して、それを必要に応じて音声にして吐き出す。そして、聞くということはその情報をそのまま正確に受け取り、自分の頭の中で解釈する。活字の受け渡しが言葉の役割になってしまっています。
 賢治さんの言葉を声にして発する時、言葉はリズムと響きを持って、私たちの身体に揺さぶりをかけてきます。標準語の冷たく無表情な言葉は、内側から揺さぶりを受け崩れ出し、その裂け目から原始のリズムとイメージが浮かび上がってくる。少々大げさかもしれませんがこれが言葉の力です。
本日は宮沢賢治童話『鹿踊りのはじまり』を読み合せました。「読み合せ」と云っても、じっと腰を下ろして読むわけではありません。からだを動かし互いに声を響き合わせながら、物語をその場に立ち上がらせていきます。

17_01.png

17_02.png

その準備として、足から頭まで、からだ全体が管楽器のような中空の管(身体イメージ)になり、様々な音色(声音)を体全体に存分に響きだせるよう、野口体操で十分にからだをほぐし姿勢を整えることからスタートです。
その後、「あ」(母音)を発声し、声を聞き分けながらからだを動かし、声と呼吸を深く明るくひらいて行きました。会場を明るく柔らかく力強い声が満たしたところで、「読み合せ」(群読)に入っていきました。

17_03.png

17_04.png


参加された皆さんの感想
S.Mさん
寝ニョロですっかり寝てしまって 人の笑い声で目を覚まし
ました。自分が自分の疲れていることに無自覚でした。
「疲れ」の概念‥‥感じ方が変わるように思
います。
「外の力でゆるめる」というのが大事なのかなあと
今日聞いた言葉で印象的でした。「一生けん命に
ゆるめる」というのは変ですが、外の力との交感し
ていることをもっと自覚しながら生きようと思います。
M.Uさん
  たのしかったです.
  あそびの中で 頭がからっぽに なった
  かんじが しました.
  この 感じは とても 大切…
  毎日が(日常が)あそびが たりないかも
  と 思いました。
  
  ばんさん.56才おたんじょうび おめでとう !
                   ございます.
M.Sさん
おくれて入ったのと、何も知らされないまま参加して
しまったので とまどいもありました。が、

声を 出すこと と身体との関連性は 日頃から
感じていた事でもあり、興味深いワークショップでした。
M.Iさん
おたんじょう日おめでとうございます!
みやざわけんじはだいすきなので
とてもたのしかったです。
これは、おもしろい!
やってみたい場所がいくつも
おもいうかびました
ホットタオルでもきかない
くびのかたさがゆるくなり
     ました つかれていたのですが
       とおくてもきてよかったです

ことばからだけのアプローチ
からだからだけの  〃

をつなぐのがよかったです
K.U
どうもなかなか乗りきれなくて、足引っ張ている気が
します。ごめんなさい。
だんだん わかるかなァ という感じで、よろしく.
E.Kさん
―身体のバランスがもどりました。
―日頃と 全くちがう 人たち と 一緒に
身体をうごかすこと自体に ほっとしました。
―身体ほぐしで 身体は ゆるんでいくのに
―気もちは. 覚せいしていくのが 不思議でした.

 どうも ありがとうございました .
A.Nさん
からだ入門に参加して
からだをゆるめて 声をだす 気持ちよさ
からだをゆだねて ゆるめる 気持ちよさ
たくさん味わいました。
自分を感じながら想像力をはたらかせて
朗読する気持ちよさ.
とても 心地よかったです。
ありがとうございました。
Y.Kさん
  happy birthday Ban !! (猫マーク)

いつもからだのことはやっているつもりです
が、自分がやることが少なくなっていて
久々やってもらって ゆるんだという
かんじでした。

けんじの鹿踊りはやっぱりサイコーです。
またじっくりよんでみたくなりました。
今日は楽しかったです‼ 
H.Sさん
 身体と声って別物だと無意識に理解してきたような
気がします。よく考えると声も体から発せられるものであり.
のどからだけではなく、体全体がつながっていて.
その集体成なんだなと あらためて感じました
楽しかったです!
Y.Kさん
途中から 部屋に入ったら
みなさん 和気あいあい . エネルギーを
かんじました。
体が ゆれるだけでおどろき! 新鮮でした。
考えてみれば。不思議 なことではないですが.,。

    久しぶりに 声を出して たのしかった です。
    
    おくれてすみませんでした。
A.Wさん
 本をよみながら。
  アドリブで誰かが演じてくれるというのが
  はじめてで 、 おもしろかった ‼.
            これは . イイ ‼
M.Yさん
まずは お誕生日おめでとうございます ‼
記念というかそんな特別な日にこれたことをうれしく思います。
前半のからだほぐしで. どこか滞っていたものが自然と
流れた感じがして とても気もちよかったです。
それまで頭から離れなかったことから一気に離れて
その世界に入りこみました。楽しかったです!
K.Kさん
 9/30
 からだ の力を抜いてみて からだって重いなと
感じました。普段どれほど重力に逆らって 力を入れて生活しているかを
実感しました。
 そして何より 声を出すことの楽しさを初めて
理解できました。 ありがとう ございました。
瀬戸嶋より
久しぶりに賢治童話を堪能しました。新宿にスタジオ兼小劇場を構えていた時には宮沢賢治の作品を30回以上舞台に乗せました。スタジオを手放して以来機会がなかったのですが、今回は13名の参加者に恵まれて「鹿踊りのはじまり」を読み合せることができ、心底楽しい時間を過ごすことが出来ました。本日私は56才の誕生日、またとない誕生プレゼントとなりました。皆さまありがとうございました。

なお、今回のWSを通じて「からだとことばのレッスン」の原点を、あらためて確認することが出来たように思います。これからは、レッスンの内容の報告に限らずに、レッスンの意味を言葉にして行かなければならない時期に来ていると感じています。こう思えたことが一番の誕生プレゼントかもしれません。

(ブログに報告を掲載するまでに、ひと月以上の時間が経過してしまいました。今回のWSは私の心の奥底に強い波紋を起こし、言葉としてまとまるまでにたいへん時間がかかってしまいました。これまで自分がやってきたことの確かさがようやく言葉になった感じです。)
関連記事
テーマ:楽しく生きる
ジャンル:ライフ