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2013年10月10日 (木) | Edit |
2013年9月27日 第16回 人間と演劇研究所からだとことばのレッスンWS
  今回小平WSは参加者がKさん一名ということで個人セッションになりました。声の響きを開いていくことを中心に、セッションを進めました。
  個人セッションでの出来事を報告するのは難しいので、このごろ私が気になっている、言葉のことについて、以下に書き出してみました。

夕焼け

  最近、講座や講演などで人の話を聞く機会が増えたのであるが、いろいろ考えさせられることが多い。
  先日大学オープンキャンバスの教室で、予備校の講師が入試論文の書き方を講義している場面に立ち会ったのだが、私は5分と持たずに中座してしまった。
  講師は大学受験のテクニックについて非常に有能な知識の持ち主なのであるが、その話し方に私は耐えられなかった。教壇からまるで速射砲(マシンガン)のように、彼の頭の中にある言葉(受験情報)を弾丸にして口から吐き出す。呼吸は浅く、のどに詰まった礫(つぶて)を次から次へと爆発させるような、力づくの発声。耳を傾けているうちに、こちらの胸が苦しくなってきた。
  振り返ってみれば、職業セミナーやNPO活動の場でも、こんな話し方をする話し手にお目にかかったことがあった。その時も、おそらく私は怪訝な顔をして彼らの話を聞いていたと思うが、これは現代人の言葉に対する態度をよく表しているのかもしれない。
  頭脳は情報の保管場所で、そこに蓄えた有用な情報を、口喉で「声」に変換して他者の耳に届ける。しかも短時間のうちに出来るだけ多くの情報を、必要とする人に届けようとする。受け取る側も、発された言葉や文脈を自分の頭脳に正確に取り込もうとする。
  最近、それが話すということの意味になってきているように思う。電車の中、友人間で交わされる会話さえ自分の見聞きした情報のお披露目合いである。話すということが自己の蓄えた情報の伝達であり、価値はその情報の力にある。言葉は用意された知識の文章化であり、発語はまるで文章の文字をそのまま吐き出すかのようで、抑揚がなく強弱ばかりが強調される。そのうえ短時間で大量の文章を吐きだそうとするものだから、せわしくひきつった、ひどくテンションの高い発声になる。
  また頭脳に蓄えられた情報は、すべてすでに体験された過去において獲得されたものである。いま目の前にいる相手と同じ時と場所を共有しながらも、意識は常に過去をむいて情報を繰り出している。そもそも話すということが、相手との今現在における直接の交流を阻害していることになる。
  このような言葉とは対照的に、相手によって引き出されてくる言葉がある。道端でふと目に飛び込んできた花の姿に心が動き、「わーっキレイ!」という言葉がからだの中から息と一緒にあふれてくる。この場合に言葉は頭脳(意識)から発されるのではない。我知らずにからだの中から息と一緒に湧き出て発声されるのである。心は花に奪われ、声を発する自分は消え去り開け放たれて、花と自分の境界は奪われている。
  このとき言葉の出どころは胸の内であったりお腹の中から、からだ全体からであったりする。ふつうは「心から言葉が出てくる」というが「頭脳(意識)から出てくる」言葉とは区別して使ってよいのではないだろうか。
  この「心から出てくる言葉」は、その人の息遣いやリズムを孕み、その人のからだ(=こころ)の奥底に沈む、イメージや感情を伴って語り出されてくる。それは、聞き手のからだに響きやリズムとして伝わり、聞き手のこころを動かし開かせる。そこに交流が始まる。
  最近は、「頭脳(意識)から出てくる言葉」に駆逐されて、「心から言葉が出てくる」言葉の影が薄い気がする。私自身このままでは、受験講座を退席したように、世の中からも逃げ出さねばならなくなるかもしれない。「心からの言葉」を育てることに本腰を入れなくては。これが「からだとことばのレッスン」の目指すところ。

参加された方の感想
K.坐禅はまだよくわからな
かった. 息が練れる?
家でもやってみよう。

発声は. よい声が出た
「かいのしずく」声を天井に
つきだしてのどを開ける.
そのあとそれを維持するために
コウカクを上げる(口角を上げる絵)
とよいらしい。

でものどはあとでちょっと
かれたかな?
瀬戸嶋より
今回はKさんとたっぷりお話しをしたり、坐禅の呼吸法を試してみたり、声でご苦労されていることを伺ってレッスンをしたりと、楽しい時間を過ごしたのですが、いざ報告にまとめようとするとどうもうまくいかずに困ってしまいました。私の不躾な文章でページを埋めてしまいました。Kさん、皆さん、御免なさい。(写真は我が家の近所からの夕焼けです。とくに意味なく掲載しました。でもすごい夕焼けでした♪)

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