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2020年05月19日 (火) | Edit |
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机上に開いたページを追いながら、涙をボロボロ落とし、拳で机をゴツゴツと叩き続ける。コンクリの壁と、鉄の窓枠。バイト先、一間四方の小部屋で机に向かう私。大学生のころ。

あの頃は、牢獄に囚われていたのかもしれない。自我=観念の小部屋に。息を殺し上目遣いで周りの狭小世界を睨んでいた。黙々と酒を飲んだ。観念の妄想はトドメを知らない。だから酔い崩れることがない。現実の引力を微かに離れはするが。

酩酊のフィルタと頑固な自己正当化の壁をスルーして、この本はいきなり、私の隠れた正気の中に飛びこんできた。

嗚咽あるいは慟哭が湧き出てくる。井戸を穿ったのはこの一冊だ。喜びも罪も何もかもを押しのけ、流れ噴き出す清泉。

平たく言えば、ここから「わたし」の人生が始まった。「あなた」を求める旅の始まりでもあろう。
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1977年11月20日 初版第1刷発行
1980年10月30日 初版第11刷発行

以下「帯」背面より引用
『……湊川高校の生徒の多くは、その生れによって最も酷薄な人生を生きることを強いられ、また義務教育学校の中で最も甚しく切り捨てられた位置にいる子供達である。…… だが私は湊川に入って、改めて日本の公教育への絶望を決定的にすると同時に、逆に人間と教育への信頼をよみがえらせ、人間が人間らしく生きる力としての教育の可能性を見ることができた…… (本文より) 』

発言の激しさ厳しさに、林竹二さんについて行けなくなる大人が沢山いたことだろう。ありがたいことに私は、捨てられぬ社会的立場を持っていなかった。この人間を可能性の状態として見ることに、違和感を持たずに済んだ。だから今も生きていられる。

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