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2015年08月27日 (木) | Edit |
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姿勢が悪いのは、背筋や腹筋が弱いからではありません。誰の身体にも背すじを伸ばす力が働いています。それなのに背中や腰など、身体の部分を無自覚に緊張させて、もともとある伸びる力を阻害しているのです。

背中に物差しや柱をあてて、背中を真っすぐに伸ばそうと努力をする。これがそもそもの間違いです。自分の姿勢を、他者の眼差しや定規を基準にして、外側から力を加えて矯正しようとする。努力して筋力を鍛え、姿勢を正そうとする。

だらしがないとか、虚弱であるというけれど、そこにはちゃんと理由があります。姿勢に関して言えば、それは無自覚な緊張です。無自覚に身につけ常駐してしまった筋肉のこわばりが、背すじが伸びようとする力を押しとどめているのです。姿勢を良くしようと思うならば、この無自覚な緊張を解除すれば良いのです。

野口体操の中に「ぶら下がり」の動きがあります。外形は上半身を前屈させる体操に似ていますが、地面に向かって力をこめて前屈を深めることが目的ではありません。上半身を腰(股関節)のところから下方にぶら下げ、薄布がゆらゆらと風にゆれるように、胴体の緊張を揺らして弛めます。

十分に力が抜けていれば、身体自体の自重によって、胴体の背面や脚部のうしろすじが、努力することなく、自然に引き伸ばされていきます。同時に身体のゆれによって、背面の筋肉の無自覚なこわばりが、マッサージを受けたようにほぐされ、さらに自重によって上半身は、鉛直(地球の中心)方向へと、伸展を深めていきます。

身体を起こしてみると、身体の背側の緊張がぬけたぶん、背すじがスッキリとして感じられます。身長が僅かに伸びて、視野が広くなった感じがします。外から見ていても、実際に姿勢が変化しているのが分かるほどです。

地に足がつき、顔の表情からは険しさが消えて、安心して寛いだ感じ。安定したのびやかな立ち姿へと身体全体の印象がかわっていきます。

始めに「誰の身体にも背すじを伸ばす力が働いています。」と記しました。ふつう姿勢を支えるのは筋力だと考えられています。ここでは、姿勢は重力と大気圧によって支えられており、筋肉は姿勢のバランスの微調整を引き受けているものと考えています。

姿勢、つまり姿の勢いにまかせて、気持ちよく立てているときには、海底の岩礁に根をはやしたワカメのように、身体の場合はもっと微細な揺れですが、地面から天へと力を受け、寛ぎながらものびやかな姿勢となります。理屈はさておき、体感して欲しいものです。

【立つこと一つとっても、私たちは自然の恩恵を受けています。身体を意識の下におき、身体を努力によって鍛えなければいけないという発想は、もういい加減にやめませんか。寝ることも坐ることも立つことも歩くことも、大地(地球)とのつながりの中で、大地の力によって促されて成り立っています。生活そのものが、大地によって身体が育まれる機会なのです。そこのところを忘れて、あれこれ知識を増やし、意識して身体に取って付けることなど、ますます私たちを自然から遠ざけることになります。不安ばかりがふえていきます。】

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