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2015年01月15日 (木) | Edit |

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パートナーと二人組で、からだの緊張をほぐし合うこと約1時間半。かわし合う眼差しがとても柔らかく、人と居てこんなに寛げるものかと、懐かしい気持ちがしてきます。何かを発言しなければと気を使う必要もない。相手と共に、黙って静かに腰をおろしているだけでゆったりとする。(沈黙も言葉を語っています)何かが通じあい満ち足りている。言葉(感想)が自然に浮かんで滑らかに口を通り、相手に向けて流れ出します。

まわりのペアを見渡しても、ゆったりと明るい表情で嬉しそうに談笑しています。「動きたくない、このままが良い」「気持ち良くなった」「ぐっすり寝て目覚めたみたい」「温泉に入った気分」「疲れがとれた」「筋肉痛がなくなった」「腰(腰痛)が何ともなくなっちゃった」「整体の施術料5000円を得した気分、お世話になりました」(笑)等々、暖かく弾みのある声が聞こえてきます。

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ストレスからくる、からだと心の緊張は、複雑な人間関係の中で、自らを社会や組織に適応させ、同時に自分を守るための「身構え」から来るものです。社会の求める鋳型に、私達は自分を適合させることで、社会的な役割を担っています。

自分自身の感情や個性を生身のまゝ組織の中で発露することは許されません。あくまで社会の求める目的や決まり事をベースにして、それに応じて生身の自分を加工しなければ、生活を営むことができません。意図的な緊張努力によって「身構え」は形成されます。「身構え」として形成された社会的自己のことを「ペルソナ」と呼びます。

とくに現代のように、科学的手法に基づいて、物事が事細かに規定されている(規制が次から次へと生みだされる)時代の中では、常に自分の行動を意識的に監視し、状況に応じて素早く答えを出し、自らを既成の組織の一部分として振舞うことが、人間に求められる絶対的な価値になっていきます。演劇を専門とする俳優よりも、社会的な自己(ペルソナ)を演じるという意味では、一般の人達の方が、役者が一枚も二枚も上手(うわて)だと言えそうです。

極端な話し、社会的な評価を得るために、また、安定した地位を築くためには、自らを超高性能の情報処理能力をもった、アンドロイド(ロボット)になることを、求められているように思えてきます。(旧式ロボットのバブル時代のサラリーマン、最新鋭アンドロイドの肉体のメンテナンスを欠かさない現代ビジネスマン。)

ペルソナは社会的な必要に応じて身に付けた仮面です。自分自身ではありません。仮の自己です。ペルソナは組織や規律の中での人格であって、人と人との深い交流や触れ合いを前提とはしていません。本音や感情は仮面の陰に隠されているのです。

ペルソナが外的に傷を受けることは、本音や感情の暴発を意味し、自ら社会的な危機に立たされることになります。私達はペルソナを守り維持するために、膨大なエネルギーを常に注ぎ込み続けています。ペルソナを守るということは、常時、からだに緊張を強い、「身構え」を支え続けることです。

ただし、ペルソナの成長はあくまで社会的な成長が前提であって、決して人間的(精神的)な成長を意味してはいません。ペルソナを自分でコントロールし、自ら創り代えていくことは可能です。そのためには、自身の内面的精神的な成長が必要です。本当の自分らしさを取り戻し育ててて行くことが。

だいぶ持って回った話になりましたが、「からだほぐし」とは、この「身構え」(=緊張)をほどいて、人と人とが直接に生身のままに触れ合い交流することを目指しています。そのために、自己を覆う緊張を解きほぐして、身構えを脱ぎ捨てていくことが、第一歩となります。

人と人との深いつながりを妨げる緊張を、互いの感受性を深めつつ、一つ一つ取り去って行き、既成の人間像や常識的な価値観に囚われることのない、自由で創造的な場と、そこでのいのちの交流を育てたいと、私は望んでいます。本来、祭りや演劇の受け持つ役割は、そういう場(非日常の時空を)をコミュニティーに提供することなのです。

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「ら・ら・ら・らぁ~~ぁ~~」と、みんなで一斉に声を出します。ともかく思い切って息のつづく限り、日本語の音韻の中では一番明るく開放的と云われる「あ」(母音)の声を発してみます。(喉の緊張を避けるために「ら」から「あ~」の発声につなげていきます)息が切れたらふたたび息を入れて、また「ら・ら・ら・らぁ~~ぁ~~」と繰り返します。

「からだほぐし」で、からだの緊張がとれているからでしょう、声が楽に出ます。みんなの声も、角(かど)が取れたように軟らかく、とても心地よい響きを立てています。お互いの声が響き合って、その振動(共鳴・共振)でさらにからだの緊張がほどけていくようです。「声を出すってこんなに気持ちいいことだったのか!」笑い声がドッと響きます。開けっ広げの、お腹の底から溢れる笑い声が。もういちど「ら・ら・ら・らぁ~~ぁ~~」

ここち良い声と空けっぴろげの笑いが響きだしました。続きは次回の「レッスン模様」で。

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