FC2ブログ
2015年01月10日 (土) | Edit |

2015-01-10 003-ed

「私はからだが固いから・・・」ペアになった人達の中からこんな話が聞こえてきます。これはからだのことが話題に上ると必ず出てくる言葉です。「自分がからだが硬いと思う人?」思わずみんなに問いかけました。集まった十数名の半分以上の人の手があがります。

内心がっかりです。「なんで固いと決めつけるの?その根拠は?固いと誰が決めたの?自分で固さを感じたことはありますか?」黙ったままでぼやいてしまいます。「からだが固い人なんて誰ひとりいない。」というのが、レッスンが成立する根拠でもあるのですから。

こんなこと、言葉で云っても納得してもらえるわけが無いので、物は試しとさっそくデモンストレーションが始まります。「からだが固い」と云うその人が、床に仰向けになって目をつぶります。みんなでそれを取り囲んで腰をおろす。私がその足もとに坐って、左足の親指を軽くつまんで、左右に小さく振るわせます。親指を震源地としてからだと云う大地に波が伝播していきます。

つまり、左足親指の小さな揺れが、足先から脚を通って胴体・頭へと、波になって全身に伝わって行くのです。ほんのちょっとの力で、床に寝転んだ人のからだ全体が小さく波立ち揺れ始めます。「からだが固い感じがしますか?」と私。床に寝転がって揺れている人は「いいえ、とっても気持ちが好いです~」と安心してニコニコ顔。

ところがふと気づくと、周りのみんなの雰囲気がちょっとおかしい。見ると、怪訝そうな顔で眉をしかめる人。眼をむいて凍っている人。見てはいけないものを見ているように視線を泳がす人。。。どうやら眼の前の異常事態を何とか理解しようと息をつめて思案をしているみたいです。もちろん、自分も一緒に揺れているような、ユルユル顔の人もいますが、、、。

「見ていてどんな感じがしますか?」と尋ねてみるとみんな言葉が出てこない。これは無理のないことでもあります。「吾輩の辞書(脳)に、「身体は柔かい」という文字はない!」からです。

(以前のことですが、千葉県I市の看護協会で、中堅看護師を対象にレッスンをしたことが在ります。30名近い看護師の人達に、この実習(野口体操で「寝ニョロ」と呼ぶ)を見てもらった時のことです。
一人の看護師さんにモデルになってもらい、その人のからだをゆらゆらと揺らし始めると、その場の空気が凍り付いてしまいました。
みな一様に、眼をむき息を詰め、険しい顔で見つめています。何が起こっているやら、私の方が驚いてしまいました。
どうやら眼の前の出来事を、知識を総動員して、みんな一処懸命に理解し受け入れようとしているらしいのです。
ところが看護の教科書には「からだは水の入った革袋のように軟らかい」とは書いていないし、医療の現場ではそのような眼差しで患者さんのからだを見ることは無かったのでしょう。
人間は、頭の中にある知識や常識を裏切る出来事に合うと混乱します。そしてその出来事を、何とか意識の内に収めしよう、理解しようと努力します。
でもいくら考えても「人間の身体は軟らかい」という体験と知識がどこにもないのですから、凍ってしまうのでしょう。。。などと私は思っていました。
「からだ」に関わることは「論より証拠」の世界なのですが、実際は「証拠より論」が常識になってしまっているみたいです。)

そんなことを四の五の言っていてもしょうがないと考えて、周りで見ている人に眼をつむってもらい、再び「息を入れて(吸って)、軽く止めて、吐いて~」と呼吸を深め、しかめっ面や怪訝な顔の緊張をゆるめます。呼吸と一緒に、何とか眼の前の出来事を理解しようと意識して、頭に集まっていた注意(緊張)を胴体に下します。そのまま(緊張を弛めたまま)ぼんやりと眼を開き、もういちど仰向けで床の上で揺れ続けているているからだに、注意を向けます。

「見ていてどんな感じがしますか?」尋ねます。「気持ちよさそう」「自分も揺れているみたい」「軟らかい感じ」「どんどん力が抜けていく、見ている自分のからだも」「私もやって欲しい」。。。ようやく、感想が出てきます。「では、さっきはどんな感じでしたか?」と私。「何だか分からなかった」「怖かった」「魔法ですか?」「見てはいけない物を見ているような気分がしてました。」、爆笑です。

意識は臆病者のようです。善し悪しの常識の中に自分を閉じ込めて安心しているのが意識ですね。先ずは意識(緊張)をゆるめて、眼の前の出来事をあるがままに受け入れる練習をしましょう。常識の外側に宝物は埋まっています。ちょっと冒険をしてみましょうね。

二人組に戻ってみんなで一緒に、「寝ニョロ」(「脱力」とか「からだほぐし」「ゆるゆる」「ゆらし」とか色々な名称を使ってますが)を実際に体験して行きます。

続きはまた、次回の「レッスン模様」で。

関連記事
テーマ:楽しく生きる
ジャンル:ライフ