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2015年01月08日 (木) | Edit |

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お互いの様子が見えるように、輪になって床に腰をおろしたところから、レッスンはスタートします。どんな思いを持ってこの場に来たのか、一人一人順番に話していきます。

「竹内敏晴の本を読んで興味を持った」「野口体操を体験してみたい」「自分のからだを見直したい」「良く分からないけど楽しいから今日もきました」「からだの緊張をほぐして楽になりたい」「腹式呼吸が分かりたい」「今日は声を出したい」「朗読をしてみたい」「こないだやった○○をもっとやりたい」等々、それぞれの思いがざっくばらんに語られます。

話しを聞きながら、私は一人一人のからだの状況にも目を向けています。「この人、今日はだいぶ草臥れているな」「息が浅くて忙しい話し方だなぁ」「頭(意識)ばかりで身体が置き去りだ」「今日はいつもより元気がないな」「からだの感じ(印象)が以前とは変わったな」「声が良く響くけどその割に声が前に出ていない」「今日はみんな背中をガチガチにかためているぞ」「なんだかわからないけど言葉に違和感がある」等々、話しの内容を聞ききながらも、各人のからだが語る情報にも注意を広げ、それを感じ取っています。

ちなみに、それぞれの人の思いや考えと、それぞれのからだ自体が語る情況とは、必ずしも一致しないことが多いものです。たとえば、本人は元気で調子が良いと言っていても、こちらでその人のからだの状態を感じ取っていると、酷く緊張して頑張っていることがわかる。これが一致してくれると、レッスンを進めるのが楽なのですが、そうはいきません。からだ(感覚)とことば(意識)がバラバラなのです。

一通り話しを聞き終え、みんなの様子を見ていると、その場の空気に動きがない。相互の繋がりが停滞している感じがしてきます。私自身なんとなく落ちつきが悪いので「ともかくからだの緊張をゆるめることから始めよう」と提案し、レッスンのスタートです。

二人でペアを作ろうと思うのですが、みんなが立ち上って歩きだすと、こんどは妙に息苦しい感じがしてきます。見るとほとんどの人が、胸を固めて息を詰めて歩いています。立ち止まってもらい、「いま歩いていた時に息をしていた人、手を挙げて~。」と声をかけます。

半数くらいの人がすぐ挙手をしますが、あとの人たちは、何を問われているのか良く分からないという顔をしています。誰も自分が息をしていないとは考えていません。頭では自分が常に息をしているのを、当然のこととして知っているわけですから。何てことを聞いてくるのだろうと、手を挙げた人にも怪訝な表情が広がります。

そのままかるく眼を閉じてもらい、外部に向いている注意を自分の内側に向けます。そのまま「息を吸って~、止める、吐いて~」。呼吸をした時にからだの中にわき起こる変化の感じに、静かに注意を置きながら、何度か息をします。見ていると、息を深くすることでからだの強張りが溶けていく感じです。みんなの表情が柔かく感じられてきます。

そこで「いま息をしていた人?」と、もういちど問いかけます。手を挙げる人もいますが、たいていは、一斉に笑い声が挙がります。みなさん、ようやく気づいたようです。先ほど歩いていた時は、ほとんどの人が自身の呼吸を感じていなかったことを。息をつめていたことを。

「さっきは息をつめて歩いていましたね(笑)、今度は息をしながら歩いて行って二人組になってください。」場の空気が変わったのが感じ取れます。息をつめて人を避けるような硬い雰囲気が消えて、暖かい空気の中にみんなが一緒に浸っている感じがしてきました。穏やかな笑顔で、みな二人組になりました。

次に「からだほぐしのレッスン」に進めようと思うのですが、またちょっと気がかりが。様子をみていると、せっかく組になった二人の関係がなにやら空々しい感じがしてきます。思わず、「これからしばらくこの組み合わせでレッスンを進めますが、みなさん、自分の相手はこの人で良いでしょうか?」と問いかけます。

一瞬の間を置いて、相手と顔を見合わせモジモジしたり、挨拶したり、笑顔を交わしたり、おしゃべりを始めたりと様々、また笑いがはじけます。組が出来たとたんに、今度は自分の息ならぬ、相手の感じを忘れてしまっているわけです。次は何をやるのか、このレッスンにはどんな意味があるのかだとか、自分の考えに囚われて、意識することなしに眼の前の相手のことを置き去りにしてしまっているのです。

人と組むということは、組が出来て終わってしまうのではなくて、一緒に関係を生み出していく出発点に立つということです。「一緒」にと云うことは、互いに相手の存在を消さないことです。真っさらな「いまここ」を共有することです。何がやってこようとも。

ともあれ、相手と「一緒」にいることを楽しんでほしいものです。しゃっちょこ張って関係を作っていくのが、私は苦手なもので。そんなこんなでようやく、二人組で「からだほぐしのレッスン」が、始まっていきます。

この続きは、次回の「レッスン模様」で。

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